研究課題/領域番号 |
15K15265
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
大平 寛 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (60386828)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科的身元確認 / 大規模災害 / 電子ペン / デンタルチャート / デジタル化 / データベース |
研究実績の概要 |
歯科的身元確認は遺体の情報と生前の情報を照合することで行われる。東日本大震災当時は、遺体の口腔内所見をデジタル化し、さらにデータベース化するまでに非常に時間がかかるとともに多大なマンパワーが必要であった。即ち、災害時においては、情報の「デジタル化」と「データベース化」が迅速かつ確実な身元確認の鍵となることが示された。 本研究は、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(S1203004、平成24年度~平成26年度)において開発された世界初の「電子ペン対応デンタルチャート及びデータ管理システム」をベースにしてさらなる改良・改善を施し、以って大規模災害時の迅速かつ確実な身元確認作業に資することを目的とする。 災害時の歯科的身元確認においては、まず、遺体の口腔内所見を記載する。本研究では、電子ペン付属のボールペンを用いて電子ペン対応デンタルチャートに口腔内所見を記載するが、従来は記載者によりまちまちであった記載内容を数字付でリスト化し、数字を記載する方式を採用した。そうすることで、口腔内所見の記載内容を標準化することができ、書式の統一化も可能となる。記載された情報は即座にデジタル化されるとともに電子ペン内のメモリーに蓄積され、Bluetoothに接続することでコンピュータに転送される。転送されたデータは1歯単位での修正が行われる。デンタルチャート作成時に撮影された顔貌写真、口腔内写真、エックス線写真はデンタルチャートとリンク付けされ、それらの遺体情報を1つのファイルで管理することが可能となった。 以上、電子ペン対応デンタルチャートを使用することで、遺体情報の迅速なデジタル化とデータベース構築が可能となり、確実な身元確認の遂行と遺体取り違えの危険性を低減することができるようになる。デジタルデータのメリットを生かした身元確認の遂行を通じて多大なる社会貢献が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンピューターに保存された写真類(顔貌・口腔内・エックス線)はデータ管理システム画面で縮小・拡大・回転等の修飾を施し、デンタルチャートとリンク付けすることが可能となった。これにより、デンタルチャートと写真類を含めた遺体情報の一元管理システムが一応完成された。但し、UI(User Interface)の使い勝手など細かい改良が必要な部分が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、デンタルチャートシステムによって管理されたファイル等を用いて鑑定書を作成できる機能を追加する。さらに、一元管理ファイルのクラウドへの転送を含めたクラウド環境の構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の物品費で購入予定であったものを次年度に購入することにしたため。また、次年度に支払うソフトウェアプログラム依託費が増加することが予想されたため、次年度分に充当すべく今年度支出予定の物品費・旅費を削減した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度購入予定であった物品を購入する。また、前年度の繰越分をソフトウェアプログラム依託費の増額分に充当する。
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