研究課題/領域番号 |
15K15266
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
吉本 寛司 広島工業大学, 生命学部, 教授 (70111903)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 虚血 / アミロイドβ / アルコール / 4血管閉塞法 |
研究実績の概要 |
今年度虚血負荷動物モデルを作成し、脳内ペプチド微小透析膜法を応用し虚血再灌流後における視床下部外側野の神経活動の抵抗性変化について比較検討した。 体重280-310gのWistar系雄ラットを用いた。脳内ペプチド微小透析膜用ガイドカニューレを視床下部外側野に挿入しデンタルセメントで固定した。手術回復2-3日後脳虚血処理を施した。ガイドカニューレを挿入したラットに麻酔を施し、脳定位固定装置に再度固定した。4血管閉塞(4VO)法に準じ第一頸椎翼状孔に電気メスチップを接触固定させ両側椎骨動脈の電気的焼灼を行った。処理良好なラットについて、同時に両側総頚動脈を露出し、マイクロ血管クリップで両側総頚動脈を30分間閉塞した。その後総頚動脈を再灌流させた。なお両側椎骨動脈の電気的焼灼のみを行い総頚動脈を露出したのみの非虚血群をSham対照群とした。脳微小ペプチド用脳透析膜プローブをガイドカニューレに沿って視床下部外側野へ挿入し人工脊髄液灌流し灌流液をマイクロ遠沈管に1時間間隔で回収(1uL/min)した。視床下部外側野灌流液のペプチドについてELISA法を応用したβアミロイド測定キット(Aβδ1-42)により半定量を行った。視床下部外側野灌流液における4VO群のβアミロイド放出量は、Sham対照群に比較して一部増加傾向を示したが個体数が少なく、個体差も大きく統計的有意差は認められなかった。一方エタノール投与群(2g/kgi.p.)の血漿βアミロイド量は、Sham群と比べて4VO群に増加が認められた。4VO虚血処理によるイオンポンプ異常=カルシウムイオンの細胞流入増加とグリア細胞を含む神経細胞系由来のiNOS、活性酸素増加による神経系賦活とそれらに誘導された神経細胞膜貫通型タンパク質アミロイド前駆体物質(APP)の代謝に関連するアミロイド変換酵素とγセクレターゼの活性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
総頸動脈(CCA)を結索し、迷走神経に注意して内頸動脈(ICA)と外総頸動脈(ECA)を分離し直後ECA間を切断する小動物(マウス)一過性中大動脈閉塞(tMACO)の術後成功は、動物のエージング(体重変化)と麻酔効果に大きく影響され死亡例が多くマウス特異性のあるペプチド定量のための検体数が確保できずモデル動物作成変更を強いられ実施計画がやや遅れた。以後4血管閉塞・結索法の確立後、視床下部外側野灌流液中の各種ペプチド、特にグルカゴン、ペプチドYYの定量に集中し新規のペプチド アミロイドβの半定量測定に移行する時間が短縮された。結論的にはin vivo状態での視床下部外側野におけるグルカゴン、ペプチドYYは検出感度限界に近い放出量をであることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
4血管閉塞・結索法を用いて食中枢である視床下部外側野と脳報償系の中心核の側坐核でのペプチド(ホルモン)の放出をin vivo条件下で放出変動を検討する。 前回の科研費での側坐核モノアミン、DAと5-HT、の放出増加の結果を合わせ、総合的に研究を実施し、国際誌への投稿を準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物作成方法の変更とそれによるホルモン・ペプチド等の検体確保が遅れ、予定使用額に残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
モデル動物をラット中心に変更し4VO法手技を確立したことにより、in vivoラット側坐核灌流液と心臓血3~5ml血漿約2mL採取可能となり同時に複数のペプチド、ホルモン定量が安定的に実施される。それらの定量用ペプチド、ホルモンキットと実験動物を購入する。
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