ストレス関連疾患の克服は現代社会における大きな課題である。過敏性腸症候群(IBS)はその解明に好適な疾患である。視床下部下垂体副腎皮質軸関連物質の遺伝子多型がストレスの影響を受け、蛋白・代謝産物を介してIBS病態に影響するという仮説を検証した。対象はIBS群と健常対照群である。対象から採血し、DNAを分離し、ゲノム分析を行った。遺伝子多型、主要症状と心理行動特性の関連を解析した。これらの遺伝子多型はIBSの表現型に直接には関連しないが、心理状態を介して影響していた。以上から、仮説が支持された。得られた結果は、ストレス関連疾患全般に拡張することが可能であり、科学的・社会的意義を示すものである。
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