研究課題
新しい清浄環境技術であるClean Unit System Platform (CUSP)はテント状の閉鎖空間内の塵埃微粒子密度を数分以内に1立方フィート(cf)あたり100 個程度に浄化できる。この技術を睡眠中に適応すると,単にクリーンな睡眠環境を提供するだけでなく,体動による僅かな塵埃微粒子の変動を生体情報として捉えることができる。我々はこれをkinetosomnogram(KSG)と命名し、睡眠診断への応用を検討した。睡眠障害には,うつ病,睡眠時無呼吸症候群,レム睡眠行動障害,概日リズム睡眠障害むずむず脚症候群,周期性四肢運動障害,など様々な原因がある。睡眠障害を正確に診断するには,入院して終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査と行わねばならない。本研究ではKSGの睡眠情報検知への応用を検討することを目的とした。被験者をテント状CUSPの中で臥位にし,清浄環境下で左右寝返り運動や上肢・下肢屈伸を5分ごとに繰り返し,塵埃微粒子の変動を調べた。次に,被験者にPSG装置を装着してテント状CUSP内で就寝させ,PSGのパラメータとKSGとを対比した。また,KSGの周期性をMemCalc時系列データ解析プログラムで評価した。テント内粉塵微粒子密度はCUSP始動により約5分で5~15万/cfから0~300/cfまで浄化され,寝返りで3000~6000/cf,上肢・下肢の屈伸で1000~2000/cfの一過性ピークを示した。脳波上の覚醒とKSGのピークは90%以上で一致した。スペクトル解析では80~100分のレム睡眠周期近傍に有意なパワースペクトルピークを認めた。テント状CUSPにより得られるKSGを用いた睡眠時塵埃数分析は,非侵襲・非接触に睡眠中の覚醒反応の検知を可能にし,睡眠状態に関するレム睡眠周期などの情報を検知・評価するのに有用であることが示唆された。
すべて 2016
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International Journal of Engineering Research & Science
巻: 2 ページ: 92-97
ISSN 2395-6992
International Journal of Engineering and Technical Research (IJETR)
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ISSN: 2321-0869