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2015 年度 実施状況報告書

ヒト腸管上皮幹細胞における1細胞イメージング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K15287
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

土屋 輝一郎  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (40376786)

研究分担者 渡邉 守  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード1幹細胞可視化 / Lgr5プロモーター / 1幹細胞動態
研究実績の概要

これまで腸疾患における上皮細胞の機能制御破綻が疾患病態と直結することを分子生物学的・免疫学的な見地から明らかとしており、その上皮機能破綻が上皮幹細胞に起因すると着想し、上皮幹細胞の同定、初代培養の確立など幹細胞機能を評価する基盤を構築してきた。しかし上皮幹細胞は複数存在するため個別解析が困難なことから、本研究では独自に開発した手法を用いて1幹細胞を可視化し、個別の幹細胞解析・機能評価を構築することで、1幹細胞の運命決定制御機構を明らかとすることを目的とする。さらに正常の腸管上皮幹細胞機能制御を理解した上で消化管疾患特異的な幹細胞病態を明らかとすることで、最終的には幹細胞を標的とした画期的治療法の開発への基盤を確立することを目的とする。蛍光発現遺伝子を腸管上皮初代培養細胞に独自の手法で導入することにより、オルガノイド内の細胞をランダムに蛍光標識する。その中でクリプト内に1細胞のみ蛍光標識された細胞を探索し、単離する。1蛍光細胞が幹細胞であることを確認した上で、蛍光細胞の分裂能、分化細胞系譜などを経時的に観察する事で評価が可能である。さらに蛍光陰性幹細胞と蛍光幹細胞との相互関係を解析することで、一つの絨毛の形成に対する幹細胞同士の役割分担を評価できる。さらに細胞内シグナル動揺による幹細胞動態を経時的に観察・解析可能であることから、シグナルによる幹細胞機能制御を明らかとし、最終的には病態擬似モデルを構築した上で疾患特異的な幹細胞機能異常を同定する。またマウスを用いて評価法を確立した後に、ヒト腸管上皮初代培養を用いて1幹細胞の評価を行い、疾患患者由来の1幹細胞との比較検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス小腸上皮細胞の初代培養は既に確立し、mCherry遺伝子の導入を行った。一部のオルガノイドでは1細胞のみ蛍光を有するクリプトを発見しており、1細胞からの細胞系譜を経時的に観察することが可能であった。さらに1幹細胞のみ抽出しオルガノイドを作成したところ、各幹細胞から樹立したオルガノイドはそれぞれ異なる性質をもつことを発見し、幹細胞の独自性を確認した。
以上より、当初の予定通り概ね順調に遂行できている。

今後の研究の推進方策

1幹細胞からの分裂間隔の測定法を確立すると共に、環境変化による幹細胞分裂制御を解析する予定である。また、各幹細胞の性質の違いから、腸管上皮幹細胞の種類を同定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

樹立したオルガノイドが順調に確立できたため、培養試薬が見込みよりも少なく遂行できたため。

次年度使用額の使用計画

各環境変化によるオルガノイドの幹細胞動態を解析するため、今後オルガノイドの数を増量する予定であり、培養試薬が増加する見込みである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Reduced Human α-defensin 6 in Noninflamed Jejunal Tissue of Patients with Crohn's Disease.2016

    • 著者名/発表者名
      Hayashi R, Tsuchiya K, Fukushima K, Horita N, Hibiya S, Kitagaki K, Negi M, Itoh E, Akashi T, Eishi Y, Okada E, Araki A, Ohtsuka K, Fukuda S, Ohno H, Okamoto R, Nakamura T, Tanaka S, Chayama K, Watanabe M.
    • 雑誌名

      Inflamm Bowel Dis.

      巻: 22 ページ: 1119-1128

    • DOI

      10.1097/MIB.0000000000000707

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Atonal homolog 1 protein stabilized by tumor necrosis factor α induces high malignant potential in colon cancer cell line.2015

    • 著者名/発表者名
      Fukushima K, Tsuchiya K, Kano Y, Horita N, Hibiya S, Hayashi R, Kitagaki K, Negi M, Itoh E, Akashi T, Eishi Y, Oshima S, Nagaishi T, Okamoto R, Nakamura T, Watanabe M.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 106 ページ: 1000-1007

    • DOI

      10.1111/cas.12703

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Anti-Tumor Necrosis Factor Therapy in Inflammatory Bowel Disease.2015

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya K
    • 雑誌名

      Front Gastrointest Res.

      巻: 34 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1159/000381380

    • 査読あり
  • [学会発表] 炎症関連大腸がんにおけるがん幹細胞形質獲得機構2016

    • 著者名/発表者名
      土屋 輝一郎
    • 学会等名
      日本がん分子標的治療学会 第11回トランスレーショナルリサーチワークショップ
    • 発表場所
      都市センターホテル(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-01-15 – 2016-01-15
  • [学会発表] Mapping biopsy of entire small intestine revealed specific gene expression in Crohn’s disease2015

    • 著者名/発表者名
      Kiichiro Tsuchiya, Ryohei Hayashi, Shuji Hibiya, Keita Fukushima, Nobukatsu Horita, Tomoaki Shirasaki, Eriko Okada, Akihiro Araki, Kazuo Ohtsuka, Mamoru Watanabe
    • 学会等名
      UEG Week 2015
    • 発表場所
      バルセロナ(スペイン)
    • 年月日
      2015-10-24 – 2015-10-28
    • 国際学会
  • [学会発表] Acquisition of enhanced malignant potential in inflammation associated colon cancer2015

    • 著者名/発表者名
      Kiichiro Tsuchiya, Shuji Hibiya, Mamoru Watanabe
    • 学会等名
      第74回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
    • 招待講演
  • [学会発表] Mapping biopsy of entire small intestine is useful to assess the pathogenesis of Crohn’s disease.2015

    • 著者名/発表者名
      Kiichiro Tsuchiya, Ryohei Hayashi Mamoru Watanabe
    • 学会等名
      AOCC2015
    • 発表場所
      北京(中国)
    • 年月日
      2015-06-18 – 2015-06-20
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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