炎症性腸疾患であるクローン病と潰瘍性大腸炎においては、腸内細菌叢の変化に伴い、炎症の制御に異常を来している。健常者、潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者の便細菌叢の解析ではクローン病や潰瘍性大腸炎患者の腸内細菌叢は、健常者と比べ、有意に異なる細菌種やウイルスを含むことが判明した。これらの微生物叢を含む患者便または健常者便をIL10欠損マウスに移植した。結果、腸炎の病理学的スコア、腸管組織の炎症性サイトカインtnf、il6、il1bの発現は有意に炎症性腸疾患便移植群が高いことが判明した。以上のことから、炎症性腸疾患患者の変化した微生物叢は、腸炎を増悪させる働きがあると考えられた。
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