IgG4関連疾患が自己免疫疾患であるという仮説に基づき自己抗体を探索することを目的とした。患者IgGの投与はマウスに自己免疫性膵炎(AIP)様の病変を誘発した。その際患者IgGは膵の間質、基底膜にC1qとともに沈着していた。そこで自己抗体が細胞外マトリックス蛋白(ECM)を認識していると想定して種々のECM蛋白のELISAを確立して検討したところ、AIP患者の約半数でラミニンα5β1γ1-E8に対する抗体が検出された。一方正常人や膵癌、慢性膵炎では本抗体は存在しなかった。以上AIP患者血中には抗ラミニンα5β1γ1抗体が存在し、これが膵組織障害を惹起していると考えられた。
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