研究課題/領域番号 |
15K15291
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
疋田 隼人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20623044)
|
研究分担者 |
巽 智秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20397699)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
TK-NOG(NOD/SCID/Il2rγnull)マウスにガンシクロビルを投与することにより、肝障害を誘導した。血清ALT値の上昇を確認し、ヒト肝細胞を経脾臓的に投与して脾像を摘出した。その後、マウス血清から、ヒトアルブミンが検出され、その濃度は経時的に上昇した。また、マウス肝臓ではヒトHLA抗体を用いた免疫染色で染色される肝細胞を認め、クラスターを形成して存在していた。これらの結果より、TK-NOGマウスの肝臓に、ヒト肝細胞が生着していることが確認された。また、悪性形質転換をしていないヒト肝細胞を投与しても、このTK-NOGマウス体内で、ヒト肝細胞を腫瘍化させることに成功した。そこで、このヒト肝腫瘍部、非腫瘍部のヒト肝細胞部とTK-NOGマウスへ投与する前のヒト肝細胞からのDNAをそれぞれ抽出した。今後このDNAを用いて次世代シーケンサーにてエクソーム解析を行う。その後変異箇所を検討し、ヒトにおける肝発癌候補遺伝子を同定する予定である。 また、ゲノム変異を人為的に起こすため、ヒトP53を効率的に欠損させるCRISPR/Cas9システムのガイドRNAの構築に成功した。このガイドRNAを用いてP53欠損細胞の作成に成功した。今後初代培養肝細胞にこの技術を用いてP53遺伝子を欠損させ、TK-NOGマウスに移植することで、P53遺伝子欠損だけでヒト肝細胞から発癌するのかを検証する。またエクソーム解析にて解明された発癌候補遺伝子の変異が、発癌を惹起させるのかを、P53遺伝子と同様にCRISPR/Cas9システムを用いた任意の遺伝子欠損肝細胞移植実験で検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度にマウスモデルを用いてヒト肝腫瘍が作成できた。また、がん抑制遺伝子候補であるP53を欠損させる方法も確立できた。以上より、本申請課題はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
マウスで認めたヒト肝細胞由来腫瘍部、非腫瘍部ヒト肝細胞とマウス投与前のヒト肝細胞から抽出したDNAを用いて、次世代シーケンサーにてゲノム変異について解析する。検出された遺伝子変異が肝発癌のためのドライバー遺伝子であるかを検証するため、ヒト初代培養肝細胞にCRISPR/Cas9システムを用いて人為的に候補遺伝子に変異を誘導した後に、マウスに生着させ腫瘍化するか確認する。
|