TK-NOGマウスに肝障害を誘導後に脾臓より経門脈的にヒト肝細胞を投与するとヒト肝細胞キメラマウスが作製でき、ヒト肝細胞由来の腫瘍は生じない。しかし特殊な条件下で培養したヒト肝細胞を投与すると一部に腫瘍化を認めた。腫瘍はHLA陽性で、ヒト肝細胞由来であった。ヒト肝細胞癌に組織像も似ており、この腫瘍部と培養前のヒト細胞、投与直前のヒト肝細胞のエクソームシーケンスを行い比較した。その結果、ヒト腫瘍部でNRasにミスセンス変異(Q61L)を認めた。この変異は様々ながんで最も高頻度に生じるNRas活性化型変異である。投与したヒト肝細胞のNRas変異が腫瘍化の原因の1つと考えられた。
|