心不全におけるHelicobacter pylori (HP)の実態および心不全病態と関連する因子を解明するために、心不全患者を対象に解析を行った。HP感染の有無は血清HP抗体値により判定した(カットオフ値:10U/ml)。また、HP感染陽性率は年齢とともに上昇するため、50-69歳の心不全患者および健常コントロール群を比較した。心不全患者は心房細動、高血圧、糖尿病、脂質異常症の合併が有意に高値であった。HP陽性率は心不全患者が有意に高値であった(57% vs 28%p<0.05)。 HP陽性心不全患者とHP陰性心不全患者の年齢に有意差は認めなかった。HP陽性の心不全患者はHP陰性心不全患者に比べ、左室拡張末期径が拡大しており、左室駆出率が有意に低下していた。多変量解析の結果、HP陽性と関連する独立因子は、年齢、心房細動の既往、中性脂肪の値、左室拡張末期径であった。 さらに動物モデル、心筋細胞モデルにおけるHP感染の解析系の樹立を進めた。
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