本研究の目的は、臨床心エコーに応用可能なプローブの形状、周波数、アプローチ、計測時間で3次元血流ベクトルを推定する手法を開発することである。 基本波、2次高調波、3次高調波をカバーようなセクタ型超音波プローブを開発し、S/N比の高い超音波信号を受信可能とした。超音波信号の送受信はプログラマブル超音波送受信システム(Verasonics Vantage、256チャンネル独立送受信、周波数帯域1~15 MHz、12ビット、パルス繰り返し周波数5 kHz)でコントロールした。 プローブの両端からの送信にディレイをかけて、プローブの奥に仮想される点音源から拡散波が発信されるようなparallel beamformingを行い、さらに2つの異なる仮想点音源から血流成分を計測することで、対象領域の2次元血流分布を求めるアルゴリズムを開発した。さらに、プローブを機械的に平行移動させ、3次元領域の血流速度を計測し、連続の式により3次元血流ベクトルを計測する手法を開発した。 流量をマイコンで制御可能なポンプにより、血管モデル内に拍動流を流し、モデル内のグリセリン溶液の動態を本手法で観測した。同時に、カメラを2台配置し、ステレオ視された画像から奥行きの変位を求め、2台のカメラの粒子画像から2次元平面内における速度3成分を計測する3次元PIV法により観測面内の3次元血流ベクトルを計測し、本手法で得られたベクトルと比較し、本手法の妥当性を検証した。
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