研究課題
本研究課題達成のために平成28年度は下記の検討を行った。1)心不全病態における心不全関連の候補遺伝子のin vivo機能解析:ゲノム編集により作製した8系統の遺伝子変異マウス(G0世代)について、さらに交配を進めてF1、F2世代以降での心機能の解析を行った。8系統の遺伝子改変マウスについて、Taqman プローブによる遺伝子型タイピングの条件設定を行いながらマウスの交配、繁殖を進め、Western blotにより実際に蛋白の発現が欠失していることを確認した。3~6か月齢の成体マウスで、心エコーによる心収縮能の検討ならびに心電図による伝導系のスクリーニングを行った。G0世代のマウスで、8系統のうち6系統で有意な心機能の低下を認めたが、2系統では心機能の変化は明らかではなかった。F1世代、F2世代と交配を進めて、心エコーの解析を行ったところ、8系統のうち5系統で交配を重ねても心機能低下の表現型が維持されることが分かった。2)ELABELAとApelinの心不全改善の作用機構の解析:ELAを持続的に投与したところ、横行大動脈縮窄術(TAC)による圧負荷モデルにおいては、vehicle群に比較してELA群では有意に心肥大や線維化が抑制された。ELAはAngiotensin IIに対し拮抗的に作用することによりレニンアンジオテンシン系(RAS系)を抑制した。また、APJ KOマウスを用いた解析から、ELAはAPJ受容体依存的に心保護効果を発揮することが示された。さらに、ELAはApelinのようにACE2の発現上昇は誘導しないもの、転写因子FoxM1の発現抑制を介してACEの転写を阻害し、RAS系の亢進を抑制することが明らかとなった。すなわち、ELAはApelinとは違ったシグナル経路で心保護的に作用することが分かった。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Cardiovasc Res
巻: 印刷中 ページ: -
10.1093/cvr/cvx061
JCI Insight
巻: 2 ページ: e89462
10.1172/jci.insight.89462
Am J Respir Cell Mol Biol.
巻: 56 ページ: 179-190
10.1165/rcmb.2016-0158OC
Genes Dev
巻: 30 ページ: 2310-2324
Bioorg Med Chem Lett
巻: 26 ページ: 5267-5271
10.1016/j.bmcl.2016.09.045