研究課題
様々な医薬品の開発等による治療法の発展にも関わらず、血管老化・動脈硬化を基盤とした脳心血管死は高齢者の死亡原因の大半を占めており、平均寿命と健康寿命の乖離に大きく関与している。健康長寿の実現のためには、病的老化の進展した集団をいち早く抽出し、老化を標的とした先制医療を実践する必要がある。しかしながら、これまで病的老化の進展を評価・予測する方法の開発はなされていない。我々は以前より、様々な加齢促進ストレスによって組織における老化細胞の蓄積が加速され、臓器・組織機能不全(老化)を促進することで加齢関連疾患発症・進展に関与していることを示してきた。そこで本研究では、ヒト血管内皮細胞老化モデルや長寿・老化マウスモデルを用いて加齢関連因子を抽出し、さらに臨床的検証を加えることで、新たな老化マーカー・治療標的を同定することを目指す。本年度は、さまざまな刺激によって老化した細胞のアレイデータから、新たに老化細胞特異的に発現する細胞表面分子SAGPを同定した。SAGPは分裂老化に伴ってその発現が増加していることが確認された。動脈硬化モデルマウスの血管や加齢マウスの血管においても、SAGPの発現の亢進を認めた。さらにヒト動脈硬化患者の血液サンプルにおいても、その発現の亢進が確認できた。sh-RNAベクターによってその発現を低下させると、早期老化が起こった。SAGPの発現低下による早期老化には、ミトファジーの低下が関与していた。SAGP欠質マウスにおいては、血管機能障害等の形質も認めた。以上より、SAGPは細胞老化に伴って発現の亢進する細胞表面分子であり、ミトファジーを正に制御することで老化細胞に対して保護的に働くことが明らかとなった。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 16件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 12件、 招待講演 22件) 図書 (11件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
Oncotarget
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.18632/oncotarget.15973.
Heart Vessels.
doi: 10.1007/s00380-017-0968-5
Europace.
巻: 19 ページ: 644-650.
doi: 10.1093/europace/euw03
doi: 10.1093/europace/euw372.
Journal of Electrocardiology,
巻: - ページ: -
doi: 10.1016/j.jelectrocard.2016.09.005.
Circ J.
巻: 80 ページ: 2423-2424
10.1253/circj.CJ-16-1085
Intern Med.
巻: 55 ページ: 3413-3420.
10.2169/internalmedicine.55.7119
Int J Cardiol.
巻: 223 ページ: 540-542.
DOI: 10.1016/j.ijcard.2016.08.215
Int Heart J
巻: 57 ページ: 317-322.
DOI: 10.1536/ihj.15-374
巻: 18 ページ: 1734
DOI: 10.1093/europace/euw097
巻: 80 ページ: 1478-1483.
DOI: 10.1253/circj.CJ-15-1305
DOI: 10.1093/europace/euw038
J Am Heart Assoc.
doi: 10.1093/europace/euw038.
J Mol Cell Cardiol.
巻: 97 ページ: 245-262.
10.1016/j.yjmcc.2016.06.001
J Hum Genet
巻: 61 ページ: 57-60
10.1038/jhg.2015.97
Hypertens Res
巻: 39 ページ: 483-91.
10.1038/hr.2016.12
http://www.med.niigata-u.ac.jp/car/