研究課題
①IL-6およびIL-21のトランスジェニックマウス作製による肺高血圧症モデル動物作出と解析:研究代表者らはこれまで低酸素誘発性肺高血圧症マウスで抗IL-6受容体モノクローナル抗体MR16-1によるIL-6シグナル阻害がその病態形成を抑制する結果を見出した(Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 May 19; 112(20): E2677-86.)。IL-6の下流でIL-21が肺高血圧病態の形成に重要な役割を同定した。このIL-6/IL-21のシグナル軸が肺高血圧症の病態形成の促進因子であることを2つの系統の肺胞上皮細胞特異的トランスジェニック(Tg)マウスを作製して検証する事を本年度は行った。pTRE-Tight-vectorに、マウスIL-6, IL-21cDNAを組み込んで、Tet-Onのシステムに基づくTgマウスを作製した。一方で、肺胞上皮特異的に遺伝子発現をするSurfactant protein C (SPC)プロモーター下にrt-TA遺伝子を組み込んだTGマウスを入手して、pTRE-Tight-mIL-6, pTRE-Tight-mIL-21マウスと交配している。これらのマウスでドキシサイクリン誘導性にIL-6、IL-21が肺組織で発現誘導されることを確認した。②IL-6およびIL-21のトランスジェニックマウス作製による高安動脈炎モデル動物作出の試み:大動脈レベルの内皮細胞でIL-6およびIL-21シグナルを発現させるTGマウスを作出する目的で、現在までにBMXプロモーター下にrt-TA遺伝子を発現するTGマウス作製のためのコンストラクトを作製している。今後、TGマウス作製のためのインジェクションをする予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定していた肺胞上皮特異的なIL-6, IL-21のTGマウス作製までたどり着いており、これらのマウスを用いて今後は低酸素誘発性肺高血圧症の表現型解析をする予定である。また、大動脈での炎症を起こす高安動脈炎のモデル動物作製のために、現在BMXプロモーター下流にrt-TA遺伝子を発現するTGマウスを作製中である。これらと、本年作出したpTRE-Tight-mIL-6, pTRE-Tight-mIL-21マウスとを交配して今後大動脈での炎症が誘導されるかを確認する予定である。
低酸素誘発性肺高血圧症モデルマウスを作製して、IL-6, IL-21過剰発現の影響を検討する。また、IL-6/IL-21二重TGマウスの交配による作出も試みて、肺高血圧症の自然発症が誘導されないか、検討する。また、BMX-rtTA-TGマウスを作製して大動脈の炎症モデル作製の方は、大動脈特異的な過剰発現が得られるか、慎重に検討していく。
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