研究課題
研究代表者らは低酸素誘発性肺高血圧症マウスの系で抗IL-6受容体モノクローナル抗体MR16-1によるIL-6シグナル阻害がその病態形成を抑制する結果を報告した(PNAS 112(20), E2677, 2015)。IL-6の下流でIL-21が肺高血圧症病態の形成に重要で、マクロファージのM2極性化に関わる可能性を報告した。このIL-6とIL-21による炎症性サイトカインシグナル軸が肺高血圧症の病態形成に関わるか検証する目的で、pTRE-Tight-vectorにマウスIL-6, IL-21cDNAを組み込んでTet-OnシステムによるTgマウスを作製した。予備的にpTRE-Tight-IL-6, pTRE-Tight-IL-21vectorとrtTA発現ベクターをHEK293細胞にトランスフェクトしてドキシサイクリンを投与すると有意にIL-6およびIL-21の遺伝子発現が誘導された。これらのTgマウスを肺胞上皮特異的に遺伝子発現するSP-Cプロモーター下にrt-TA遺伝子を組み込んだTGマウスと交配して、ダブルTGマウスでドキシサイクリン負荷してIL-6およびIL-21の過剰発現の誘導が肺組織でみられるか確認したが期待した誘導が見られなかった。原因としてSP-CrtTATGマウスでのrtTA発現が低下していることが疑われた。現在は肺胞上皮で機能するCCSP1プロモーター下にrtTAを発現するマウスと交配し直しており、今後CCSP1-rtTA-TGと交配して肺高血圧症が誘導されるかを検討する。同じく、大動脈とその第1分枝に狭窄・拡張を来す自己免疫性大型血管炎の高安動脈炎モデル動物の作出を、大動脈内皮に発現するBmx遺伝子のプロモーター下にrtTA遺伝子を発現するTGマウスを作出した。今後、上記のIL-6, IL-21マウスと交配して大動脈炎が誘導されるか検討する予定である。
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