研究課題
1. 心筋誘導化合物によるマウス心筋直接リプログラミング(1) 心筋誘導化合物によるリプログラミング改善のメカニズム解析(2) 化合物を用いて心筋誘導転写因子を減らせるか検討するマウス線維芽細胞から拍動する心筋細胞誘導を促進する化合物を同定するため、これまで幹細胞からの心筋誘導、iPS細胞作製において高い効果を示した化合物をスクリーニングした。Gata4/Mef2c/Tbx5を遺伝子導入し、翌日から培養液を無血清培地に変え10の化合物をスクリーニングし4週後に拍動心筋の数を計測した。その結果、化合物FFVの添加によりマウス心筋直接リプログラミングが促進した。そのメカニズム解析としてGO term解析やPathway解析を行ったところ、4週でイオンチャネル、イオントランスポーター、心筋収縮関連遺伝子など心臓機能に関与する遺伝子群がグローバルに上昇していた。さらにその詳細な分子メカニズムとしては、心筋誘導化合物がGata4遺伝子などの心筋リプログラミング遺伝子を上昇させていることを見出した。次にその結果を受けて、これまでの心筋リプログラミングではGata4/Mef2c/Tbx5と3つの転写因子を線維芽細胞に遺伝子導入する必要があったが、心筋誘導転写因子を減らせるか検討した。これまでの実験の結果Mef2c/Tbx5の2因子のみで拍動する心筋の誘導が可能であった。さらにMef2c/Tbx5の2因子で誘導した心筋細胞では様々な心筋蛋白の発現や横紋構造形成を確認した。2. 心筋誘導化合物によるヒト心筋直接リプログラミングつぎにヒト細胞で心筋誘導化合物によるヒト心筋直接リプログラミングが改善するか検討した。心筋誘導化合物を用いてこれまでと同様にGata4/Mef2c/Tbx5/Mesp1/Myocdで心筋直接リプログラミングを行った。1か月後に心筋蛋白を発現する心筋細胞作製に成功した。
2: おおむね順調に進展している
心筋誘導化合物によるリプログラミング改善のメカニズム解析を明らかにし、さらに化合物を用いて心筋誘導転写因子を減らすことができた。
ヒト細胞を入手して、化合物を用いて作成したヒト誘導心筋細胞の遺伝子発現プロファイル、生理的機能の詳細な検討を行う。具体的には、ヒト線維芽細胞で化合物による心筋直接リプログラミングや誘導心筋細胞の詳細な解析をする予定であったが、ヒト検体が予定通りに集まらなかったため、細胞誘導実験の一部を来年度に行うこととした。来年度はヒト細胞をさらに入手して、化合物を用いて作成したヒト誘導心筋細胞の遺伝子発現プロファイル、生理的機能の詳細解析を行う。
平成28年度にヒト線維芽細胞で化合物による心筋直接リプログラミングや誘導心筋細胞の詳細な解析をする予定であったが、ヒト検体が予定通りに集まらなかったため、細胞誘導実験の一部を来年度に繰り越すこととなった。
来年度はヒト細胞を入手し、化合物を用いて作成したヒト誘導心筋細胞の遺伝子発現プロファイル、生理的機能の検討を行う。未使用額は来年度の試薬、物品費に使用する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 図書 (5件)
Cell Mol Life Sci.
巻: 1 ページ: 1-13
10.1007/s00018-017-2466-4
Sci Rep.
巻: 1 ページ: e39752
10.1038/srep39752.
Circ J.
巻: 80 ページ: 2081-2088
10.1253/circj.CJ-16-0815