慢性腎臓病と心血管病の密接な関与が“心腎連関”として注目されている。本研究では、腎臓病によるリン代謝異常の結果生じた微小なリン酸カルシウム結晶(Calciprotein particle: CPP)が心筋細胞に及ぼす影響を検討した。ラット培養心筋細胞に合成CPPを添加すると、電子伝達系や筋収縮に関連する遺伝子群の発現が低下した。逆に Mcp1遺伝子はCPP刺激により発現が亢進し、同遺伝子の転写開始点近傍では、発現量の変化とパラレルなエピジェネティック変化が認められた。本研究成果は、CPPが心腎連関増悪因子の一因であり、新規治療標的となり得る可能性を示唆する。
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