肺動脈性肺高血圧症では、肺動脈血管平滑筋細胞の増殖が認められる。メタボローム解析から、低酸素誘発性肺高血圧マウス肺のポリアミン濃度が有意に増加していた。マイクロアレイ解析により、代謝酵素S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ遺伝子の著明な発現亢進が生じていること認められた。以上より、ポリアミン濃度増加は基質である脱炭酸化S-アデノシルメチオニンの合成亢進に起因し、そこにS-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの活性亢進が関与していると考えられた。ポリアミンはガン細胞の増殖に関与している。よってPAHでの肺動脈血管平滑筋細胞増殖にも上記機序を介したポリアミン増加が関係していると考えられた。
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