研究課題
本研究の目的は、胚盤胞補完法を用いてiPS細胞由来の肺をマウス個体で作成することである。初年度は、Fgf10欠損マウスの作成と胚盤胞補完法の技術習得を行った。共同研究者である徳島大学泰江博士が、CRISPR/Cas法を用いてFgf10exon1欠損マウスを作製した。このマウスの精巣上体を新潟大学に移送し、ヘテロマウスのライン化を行った。次にFgf10exon1欠損マウス(ホモ)で肺臓器の欠損を確認した。一方、胚盤胞補完法の技術習得を野生型マウスの胚を用いて行った。胚に、EGFP発現マウスES細胞およびiPS細胞を注入して、キメラマウスの作成方法の確認を行った。ES細胞・iPS細胞とも、キメラマウス作製可能であり、EGFP発現でキメラの有無が容易に判別可能であった。2年目は、肺欠損マウス胚にES細胞・iPS細胞を移入して、ES/iPS細胞由来の肺の作製を試みた。まず、ヘテロマウス(Fgf10-/+)同士を交配して作成し、4分の1の確率でホモ欠損マウス胚を含む胚にES細胞およびiPS細胞を胚盤胞補完法を用いて移入した。その結果、キメラマウスの全てに肺の発生が確認された。しかしながら、腹壁ヘルニアが多発し、多くのマウスは出生後死亡した。肺はGFP陽性で、胚盤胞補完法でES細胞由来の肺が作出可能であることが強く示唆された。そのご、注入ES細胞を減ずることで、腹壁ヘルニアが減った。一方、iPS細胞注入胚ではキメラマウスの出生が極めて少数である、iPS細胞の変更等が必要あることが明らかとなった。また、FGF10欠損マウスがホモ欠損であることを証明するため、Fgf10exon3欠損マウスを作出し、複合ヘテロFgf10exon1/exon3マウスの作出を現在行っている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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