研究課題
間質性肺炎の線維化病変はTGFβ活性化状態や遷延化低酸素(persistent hypoxia)状態にあり上皮細胞および血管内皮細胞を間葉系細胞の特徴を有する細胞形質に転換することが観察される。これらの刺激に対して本来負の制御を行うPTEN活性が減弱していることを明らかとなっている。我々は非リン酸化C末端含有PTEN(PTEN4A)発現誘導は、蛋白脱リン酸化活性によってTGFβおよび遷延化低酸素誘導EMTおよび異常細胞遊走を制御すること、を報告した。さらに、間質性肺炎の治療戦略を目的としたPTEN4Aのヒトへの臨床応用を具現化するためPTEN4A導入ヒトウイルスベクターを作成して外的導入PTEN4AがTGFβ誘導EMTを抑制することを確認している。これらの知見は、組織微小環境下においても蛋白脱リン酸化活性を保つPTEN4Aを外的投与する治療戦略は組織微小環境の制御を介した新たな治療となりうると考えられた。しかしながら、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入システムは、ヒトへの臨床応用を視野に入れた時に克服すべき課題が多く存在する。そのため、新たなデリバリー手法を用いてPTEN4Aを投与する治療戦略の構築が最重要課題であると考えられた。そうした中、間葉系細胞がalternative splicing によって誘導される細胞外分泌PTENを介して周囲の細胞の活性化制御を行う可能性が報告された。本研究では、PTEN細胞外分泌の効率化を図る遺伝子変異コンストラクトを作成して、細胞外分泌PTENの検出と分離した細胞外分泌PTENの細胞への投与実験を行なった。これらの知見は本来細胞内局在にとどまる蛋白を細胞外投与できる可能性を示唆している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件)
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