研究課題
MPMの治療抵抗性、浸潤転移などの臨床的特性を明らかにし、CD26抗体の作用メカニズムと併用療法の分子標的探索を行うため、CD26及びその関連分子に焦点をあて、申請者がこれまで蓄積してきた基礎及び臨床データに基づき、種々のMPM細胞株によるin vitro、in vivo実験で解析して以下の成果を得た。[1] MPMにおけるCD26分子複合体の同定と細胞内シグナルの解析:CD26との結合が確かめられたソマトスタチン受容体及びペリオスチンの発現をRNAiで抑制し、CD26分子複合体による細胞増殖、遊走、浸潤の制御を実証した。また、これらタンパク質を恒常的にノックダウンした種々のMPM細胞株(ルシフェラーゼ遺伝子導入済み)を樹立し、マウスに移植してMPMの増殖や浸潤・転移をin vivo実験にて解析し、更に、これらの細胞株を移植したNOGマウスにCD26抗体、SSTR4作動薬を投与して、治療効果を証明した。以上により、CD26を中心とした分子複合体によるMPM浸潤促進作用の一連のメカニズムを解明し、CD26抗体と併用してMPMの治療効果を増強する併用薬を実証できた。[2] CD26を含む分子複合体の臨床的意義の解析:MPM手術検体を、について、CD26分子複合体の免疫組織染色を行って、[1]の結果を実証した。さらに、悪性中皮腫を中心とする疾患に対するト化CD26抗体臨床試験において、その治療効果を確認し、治療予測に使用可能な血清バイオマーカーを同定した。これらの研究成果は、欧米の専門誌に発表して評価を受けた。以上の研究成果により、CD26分子複合体を介してMPMの浸潤を促進する一連のメカニズムと、MPMの組織型と化学療法感受性、予後、進行度との関係を明らかにし、ヒト化CD26抗体の有効性が実証できた。
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