高効率透析中の患者の代謝応答を血液のメタボロミクスにより観察した。低分子代謝物(乳酸、アラニン、ケトン体など)はNMR法を用い定量し、インスリン定量は血漿の外注検査で、水溶性ビタミンであるビオチンはELISA法および、新規にMS法を開発してインタクトビオチンのみ定量した。 糖尿病患者は透析後半に乳酸値が低く、ケトン体(3-ヒドロキシ酪酸)値が高くなる症例を発見した。低血糖でないのにこの症状が観測され、インスリンの透析による流出と関係した。透析中にインスリンと栄養を補充する治療により代謝が回復したことも見出した。透析患者の体内にビオチン代謝物が蓄積し、透析合併症との関連があることがわかった。
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