研究課題
現在、透析療法に至っている患者数は、全国で31万人を越え、特に急性腎障害(AKI: Acute Kidney Injury)は、近年発症頻度が高まっている。65歳以上の高齢者では入院患者の13.5%にAKIが発症し、CKDに移行し易いことを私たちは報告している(Clin Exp Nephrol 2015、2016)。私たちは、AKIにおけるミトコンドリア障害、特にマイトファジー(ミトコンドリアのオートファジー)の役割に関する成果(Am J Physiol 2013)を報告し、近位尿細管細胞が酸化ストレスを受けたとき、マイトファジーがおこる事により、アポトーシスが回避され、生存し、脱分化・再生してゆくというアイデアを提唱している。またラットAKIモデルにおいてheat shock protein familyの一つであるHeat shock protein beta-1 (HSPB1) が腎臓におけるオートファジーに関与することを示した(PlosOne 2015)。オートファジーを誘導し、ミトコンドリアの保護作用のある安全な薬剤があれば、急性腎障害の新規の薬剤となる可能性があり、その候補としてALA(5-aminolevurinic acid)の腎保護作用とそのメカニズムについて検討を加え報告している(PlosOne 2013)。ラットを用いたシスプラチン腎障害モデルでALAと鉄を経口投与するとCr,BUNCHの上昇が顕著に軽減され、AKI防止効果を有することを見いだした。今後、安全性の高いアミノ酸(ALA)のミトコンドリア保護作用および、AKIの予防作用を解析し新規薬理作用の解明と臨床応用を目指す。
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Clin Exp Nephrol.
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