研究課題/領域番号 |
15K15336
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 正仁 金沢大学, 医学系, 教授 (80191336)
|
研究分担者 |
濱口 毅 金沢大学, 附属病院, 講師 (70452109)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 脳アミロイドアンギオパチー / アミロイドβ蛋白 / 伝播 / 剖検脳 / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
孤発性脳アミロイドアンギオパチー(CAA)においてアミロイドβ蛋白(Aβ)が脳血管選択的に沈着する原因は不明である。申請者は、孤発性CAA特異的なAβ株が存在し、それが中枢神経系に直接あるいは末梢ルートから投与された場合、CAAが伝播するという仮説を立て、孤発性CAA伝播実験によるCAA特異的Aβ株の確立等を目的に研究を行った。 平成27年度は、CAA剖検脳サンプル等の準備、それらのサンプルのCAA脳サンプルの遺伝子改変マウスへの脳内接種を行った。詳細は以下の通り: [1] CAA剖検脳サンプル等の準備:300剖検例についてCAA及び老人斑(SP)等の神経病理を評価した。評価結果にもとづき、マウス接種用に次の4群を設定した:A群(n = 3)[高度のCAAを有するが、SPを全く欠く(pure CAA)]、B群(n = 3)[アルツハイマー病(AD)で多数のSPを有するが、CAAを全く欠く(pure AD)]、C群(n = 3)[ADで多数のSPばかりでなく、高度のCAAを随伴する(AD+CAA)]、D群(n = 3)[SPもCAAもみられない正常対照脳]。 [2] CAA脳サンプル等を用いた遺伝子改変マウスへの脳アミロイド接種実験 :申請者らの仮説によれば、pure CAA群はCAA特異的なAβ株を有し、感受性マウスへの接種により、CAA病理が伝播される。それを検証するため、上記4群の脳ホモジネートをR1.40 APP transgenicマウス(ホモ接合体)(3ヶ月齢)に脳内接種した。今後、オリジナルの剖検脳のアミロイド病理に対応し、それぞれに特異的なアミロイド沈着型がマウス脳に出現するかどうかを10ヶ月齢で検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究経過は当初の予定通り進行しており、平成28年度にヒト剖検脳サンプルのマウス脳内接種実験の結果が得られる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降、以下の研究を行う: [1] CAAアミロイド等の遺伝子改変マウスへの継代接種実験:A~D群の剖検脳サンプルを接種されたマウス脳のホモジネートを、さらに次のR1.40 APP transgenicマウス(ホモ接合体)(3ヶ月齢)に脳内接種し、10ヶ月齢で脳病理を観察する。継代接種によりCAA病理が継代されることが示すことにより、CAA特異的Aβ株を樹立する。 また、末梢に投与した場合にCAAを伝播させることができるか否かを検討するために、R1.40 APP transgenicマウス(ホモ接合体)に腹腔内投与を行う。末梢接種用サンプルとして、①脳内接種実験に使用したpure CAA等のA~D群の患者脳検体、②マウスへの脳内接種でマウスに伝播された、A~D群に対応するマウス脳検体を用いる。その後、腹腔内への接種を行ったR1.40 APP transgenicマウス(ホモ接合体)の脳病変を経時的に検索する。 [2] In vitro Aβ凝集モデルを用いたCAA特異的Aβ株検出系の開発:上記の[1]の研究でCAA特異的Aβ株を樹立できた場合、試験管内Aβ40/Aβ42凝集系に、各群の剖検脳及びそれに由来するマウス脳のホモジネートをシードとして加え高速原子間力顕微鏡等を用いて凝集効率・スピードや凝集形態の違いを観察し、CAA特異的なAβコンフォメーションとSP特異的なAβコンフォメーションがシードとして作用する場合のseeding効果の差異を明らかにする。それにより、それらを区別して検出する方法を考案する。
|