研究課題
孤発性脳アミロイドアンギオパチー(CAA)においてアミロイドβ蛋白(Aβ)が脳血管選択的に沈着する原因は不明である。申請者は、CAAに特異的なAβ株が存在し、それによってCAAが個体間を伝播するという仮説を立て、伝播実験によるCAA特異的Aβ株の確立を目的に研究を行った。仮説を検証するため、CAAや対照群の剖検脳サンプルの遺伝子改変マウスへの脳内接種実験を行った。高齢者300剖検例から、A群(n = 3)[高度のCAAを有するが、老人斑(SP)を欠く(pure CAA)]、B群(n = 3)[アルツハイマー病(AD)で多数のSPを有するが、CAAを欠く(pure AD)]、C群(n = 3)[ADで多数のSPばかりでなく、高度のCAAを随伴する(AD+CAA)]、D群(n = 3)[SPもCAAもみられない正常対照脳]の4群を抽出し、その脳ホモジネートをR1.40 APP transgenicマウス(ホモ接合体)(3ヶ月齢)に脳内接種し、10ヶ月齢でサクリファイスしてマウス半脳を病理学的検索用に、半脳を生化学的検索用に処理した。そのマウス脳の免疫組織化学及びAβ凝集体に関するWesternブロット解析を行い、脳実質/脳血管に分布する多様なAβ沈着形態、Westernブロット上の多様なAβ凝集体のパターンがみられた。現在、マウスに接種したヒト剖検脳の系統的な免疫組織化学的解析、Aβ凝集体に関するWesternブロット解析を実施中である。その結果を待って接種マウスの脳アミロイド解析所見と対比させ、オリジナルのヒト剖検脳のアミロイド病変に対応した特異的なアミロイド沈着型がマウス脳に出現しているかどうか、即ちCAA特異的なAβ株の存在を解明する。
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