研究課題
機能的磁気共鳴撮像法 (fMRI) は1mmから3mm程度の高い空間分解能で脳内活動部位を非侵襲的に測定出来る手法であるが、時間分解能は数秒程度と低い。そのため、認知活動中の脳活動変化を1秒未満の時間分解能での検出することは困難である。一方、脳波 (EEG) は、高い時間分解能を有するが空間分解能は低い。本研究では、fMRIと脳波 (EEG) を組み合わせたEEG-fMRIを用い、空間的解析に加えて時間軸の解析も取り入れてヒトの高次脳機能神経回路や精神症状を経時的に解析出来るシステム構築を目指すものである。今回、取得したデータを解析する際、一般線形モデル (general linear model, GLM) を用いたfMRI解析にEEGにより得られた時間的情報を回帰子として加えることで、1秒未満の連続的な脳活動を取得する方法を解析し、画像化することを試みた。本手法を用いることの妥当性を検証するために、1) 作業記憶課題を用いた脳活動の観察、2) てんかん焦点診断に関する研究をそれぞれ行った。結果として、作業記憶課題では、fMRIデータのみを用いた集団解析では、従来から良く知られている脳流域に有意な活動が観察された一方で、EEGデータの時間的情報を回帰子として加えた解析では、認知課題中に1秒未満で連続的に変化する脳活動を観察出来、その活動範囲は、fMRIで観察された領域内であったが、活動量、活動時間、活動様式は個人差が大きく、被験者の課題毎の方略の違いを反映しているものと考えられた。また、てんかんにおいても、我々の開発した解析手法で同定したてんかんの焦点が手術により確認したそれと良く一致していた。これらの結果は、EEG-fMRI同時計測を用いて我々の開発した解析手法を応用することで、高い空間分解能で1秒未満の連続的な脳活動変化を捉えられることを示すものである。
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