研究課題/領域番号 |
15K15343
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山崎 峰雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10277577)
|
研究分担者 |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アルツハイマー病 / 核磁気共鳴 / 早期診断 / パターン認識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、患者血清を用いて、我々が独自に開発した「核磁気共鳴(NMR)計測とパターン認識によるデータ解析」を行うことにより、アルツハイマー病(AD)患者と、認知正常例および軽度認知障害例との識別が可能か否かを検討し、将来的には、これまでに無い「ADの早期診断法」の開発を目指すものである。 平成27年度は、AD患者と非AD患者を識別できるか検討する目的で以下の研究を行った。 日本医科大学付属病院、日本医科大学千葉北総病院および京都大学医学部附属病院にて、倫理委員会での承認のもと、AD患者と非AD患者の血清を採取した。血清は、遠心分離により細胞成分等の不溶成分を除去し、-80℃に保存した。解凍した血清に、内部ロック用重水などを加え、合計110症例の血清に対しFT-NMR装置(7テスラ、JEOL)を用いて、プロトンNMR計測を行った。検体の内訳は、日本医科大学付属病院36、日本医科大学千葉北総病院28および京都大学医学部附属病院46であった。同患者からは、通常行われている血液生化学検査データ、画像所見、病期診断、病理組織診断、臨床経過などの臨床情報も収集し、データ解析の際に検体ごとの臨床情報を振り返ることができるようデータベース化した。NMR計測に際しては、本情報を連結不可能な匿名化資料とした。 日本医科大学付属病院の患者の血清(AD:20例、非AD:8例)のNMR信号データを、本研究で確立した手法で処理し、パターン認識によるデータ解析を行った。PCA法によるデータの可視化を行い、その後PLS-DA法によるクラス分類を行ったところ、スコアプロット上で、AD患者と非AD患者はクラスター化し、両者の識別が可能であることを示す結果を得ることができた。本結果は、症例数が少ない段階での予備的検討であり、信号処理法、パターン認識に関してもブラッシュアップする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各施設におけるAD患者と非AD患者および早期AD患者等の血清検体の採取は順調に進んでいる。NMR計測条件や信号の処理法の検討はほぼ完了した。パターン認識によるデータ解析についても、予備的検討では、AD患者と非AD患者で識別可能な結果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
AD患者と非AD 患者および早期AD患者の症例数を増やす。採取した血清のNMR計測、信号処理を行い、施設ごとに集めたデータを使ってパターン認識による解析を行う。またAD患者と非AD患者の識別モデルのブラッシュアップを図り、施設間の解析結果を比較する。早期AD患者についても予備的検討を開始する。以上で得られた結果をとりまとめ、論文報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、検体の採取、NMR計測条件や信号の処理法の確立を進めることができたが、京都大学医学部附属病院にて収集した20検体についてはは、年度内に計測を完了することができなかった。また、早期ADに関しては、十分な検体収集を行うことができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
未測定の検体の測定を完了させると共に、日本医科大学千葉北総病院および京都大学医学部附属病院で、特に早期AD患者の検体収集を強化して、NMR計測およびデータ解析を推進する予定である。
|