研究課題
本研究は、短鎖脂肪酸はGPR43を介し白色脂肪細胞の褐色化(Browning)を誘導し抗肥満効果を発揮するという仮説を検証するため、Browning誘導機序の解明とGPR43シグナルとの関係を明らかとするものである。その手段として培養細胞およびGPR43遺伝子改変マウス等の動物を用いた実験を行っている。解明した機序を応用しGPR43を介したBrowningを制御、内臓脂肪蓄積を減少させることが肥満や糖尿病の新規治療法となることを証明する。具体的には、短鎖脂肪酸によるBrowning誘導がGPR43を介して起こるのか、ii) そのGPR43シグナルによるBrowning誘導機序、iii) 既知のBrowning誘導機序との違いを解明する。Iv) 既知のBrowningと相加的に作用するか、v) GPR43シグナル増強が抗肥満効果を示すのか検討する。①GPR43ノックアウト(KO)マウス及び対照マウスに酢酸塩及び酪酸塩水溶液の経口投与を行い、体重及び摂餌量の変化や耐糖能及びインスリン抵抗性の評価を行った。通常気温及び寒冷被爆時の直腸温測定を実施した。一部のマウスから内臓脂肪及び皮下脂肪を単離して凍結保存した。②GPR43KOマウス及び対照マウス由来の初代培養脂肪細胞を酢酸塩及び酪酸塩にて刺激した。褐色脂肪マーカーの発現量を評価する予定である。
3: やや遅れている
GPR43KOマウス及び対照マウス由来の初代培養脂肪細胞を用いた実験に遅れを生じた。培養技術に問題があると考えられ、基本手技の確立に立ち返って対応したため。
実験の進捗は遅れているが上記の初代培養の問題はほぼ解決しており、実験計画の内、重要な点に焦点を絞り実験を進めていく。凍結保存組織からmRNA及び蛋白を抽出、内臓脂肪及び皮下脂肪における褐色脂肪マーカーやBrowingマーカー発現をRT-PCR法やウエスタンブロット法にて解析、内臓脂肪及び皮下脂肪の形態学的評価やBrowning評価(UCP1及びPRDM16免疫染色)を急ぐ。一部の動物を用いた脂肪酸酸化及びミトコンドリア機能の個体レベル評価も進める。GPR43KOマウス由来初代培養脂肪細胞における褐色脂肪マーカー・Browningマーカーの評価を急ぎ、既知のBrowning刺激との相違点を明らかとする。
国際学会出席のための予算を計上していたが、フランス・パリにおけるのテロリズム発生により、国際学会出席をキャンセルしたため。
国際状勢の安定が進んでおり、次年度には2~3回の国際学会(欧州もしくは米国1回、アジア1~2回)への出席を計画している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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