研究課題
本研究では、開発中のRecombinase-mediated cassette exchange(RMCE)法を用いた遺伝子改変インスリン分泌細胞株の効率的作製法を完成させ、さらにこれを利用し、ラージスケールで、蛋白発現を過剰あるいは抑制・脱落させた細胞を作製・解析し、インスリン分泌機構を詳細に理解することを、目指した。まず、RMCE法のためのplatformを構築し、インスリン分泌MIN6細胞に導入し、platformがゲノム上一か所である細胞を探索したところ、約半数のクローンで一か所に挿入されていることが示唆された。この中から、インスリン分泌応答が良く、GFP遺伝子発現が均一で高いクローンを選別することに成功した。このmaster細胞を用いて、グルコキナーゼの過剰発現および、shRNA発現による発現抑制を試みたところ、約6週間で過剰発現あるいは発現抑制クローン細胞を得ることが可能であった。クローンの細胞が実験に供することができるまで細胞数が増えるのに、さらに2-3週間を要したが、クローンは本質的に同じplatformの位置に遺伝子が挿入されているisogenicなものなので、これらを混合してインスリン分泌応答を検討することも可能であり、予想通り、過剰発現によりインスリン分泌の増加、発現抑制によりインスリン分泌の低下を認めることができた。さらにこのmaster細胞を用い、これまにインスリン分泌に対する効果が知られていなかったが、我々の予備実験でインスリン分泌を調節する可能性が示唆された6遺伝子について、過剰発現細胞を同時に作製することを試み、成功した。このうち2つの遺伝子についてインスリン分泌の増加が認められた。RMCE法を応用した新規遺伝子改変インスリン分泌株の作製法が有用であり、今後インスリン分泌機構解明が進展すると期待される。
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