研究課題/領域番号 |
15K15357
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
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研究分担者 |
吉田 守克 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (70393212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 内分泌 / 脂肪酸修飾ペプチド / 脂肪酸転移酵素 / グレリン / 摂食・エネルギー代謝調節 |
研究実績の概要 |
これまで申請者の研究室では、細胞間情報伝達物質として未知の生理活性ペプチドを数多く発見し、新たな生体調節機構を明らかにしてきた。近年では、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHS-R)の内因性リガンドとして、ラット胃よりグレリンの発見に成功している(Kojima et al. Nature 1999)。グレリンは成長ホルモン分泌促進作用だけでなく強力な摂食亢進作用を有することが明らかとなり、現在は治療応用へと研究を展開している。 グレリンの3番目のセリン残基は、中鎖脂肪酸であるオクタン酸修飾を受けている。この修飾基はグレリンの活性発現に必須であり、グレリンO-アシルトランスフェラーゼ(GOAT)により修飾される。ラットにおいてGOAT mRNAは胃だけでなく、中枢神経系にも高発現している。一方、中枢神経系におけるグレリンmRNA発現量は胃と比較して非常に低く、グレリンの他に脂肪酸修飾ペプチドが同定されてないことより、未知の脂肪酸修飾ペプチドの存在が示唆される。本研究では脂肪酸修飾された新たな生理活性ペプチドを同定し、細胞や個体レベルでの機能解析することを目的に研究を遂行する。 リガンドの物性が同じ受容体間におけるアミノ酸配列の相同性は高いことが知られており、本研究にて同定される新規脂肪酸修飾ペプチドの一部は、GHS-Rに相同性の高いオーファンGPCRの内因性リガンドであると予想される。そこで平成27年度は、GHS-Rに相同性の高いオーファンGPCRであるPGR2,PGR3に対する安定発現細胞を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GHS-Rに相同性の高いオーファンGPCRであるPGR2,PGR3に対する安定発現細胞を作製したものの、内因性リガンド探索が十分進んでおらず、進捗状況としてやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
オーファンGPCR発現細胞に対し、脂肪酸修飾ペプチドを多く含んだ画分を作用させ、受容体特異的な生物活性を探索する。受容体活性化に伴う⒜細胞内Ca2+濃度上昇をFLIPR、⒝細胞内cAMP濃度変化をEnVision、⒞受容体のインターナリゼーションをINCell Analyzer、⒟細胞の微小形態変化によるインピーダンス変化をCellKey(すべて現有設備)にて検出する。活性を指標に逆相HPLC(現有設備)にて精製・単離を行い、ペプチドシークエンサー及び質量分析計を用いて新規ペプチドの構造を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画実施において、消耗品が当初積算額より低価格で実施できたため、消耗品費の支出が軽減できた。また、研究のための情報取集および研究打合せの回数が、予定より少なかったため 旅費支出も少ない額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品の使用が予定より増えることが予想されるため、物品費に充当する予定である。
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