研究課題
これまでの研究成果から、T helper (Th)-17免疫応答が真菌感染による肺graft-versus-host disease (GVHD)増悪のメカニズムであることが判明した。そこで、肺GVHD治療法の開発を目指し、Th17免疫応答に関連するIL-6の阻害により真菌感染による肺GVHDの発症を防止できないか検討した。MHC半合致であるB6→BDF1モデルを用い、alpha-Mannanを投与後に抗マウスIL-6抗体、MR16-1を投与し、そのT細胞免疫応答、肺GVHDに対する影響を検討した。しかし、T細胞応答、肺GVHDともに抑制されず、IL-6以外のサイトカインなどの病態形成への関与が示唆された。そこで次に線維化の進展に関与するheat shock protein 47 (HSP47)を標的とした肺GVHD治療法開発の研究を開始した。現在までに、HSP47を阻害するsiRNAの投与により、皮膚GVHDにおける線維化の予防および治療が可能であるという結果が得られている。現在、GVHDに伴う閉塞性細気管支炎のモデルである、B6→B10.BRモデルを用い、肺におけるHSP47の発現を検討中である。さらにHSP47阻害により閉塞性細気管支炎の予防あるいは治療が可能か検討する。また、腸内細菌叢とGVHDには相関がみられるが、腸内真菌叢とGVHDの関連を検討するため、移植後の糞便サンプルを継時的に収集し、次世代シークエンサーを用いて糞便中のファンジオーム解析を行った。真菌の検出頻度は同系移植に較べ、同種移植で明らかに高かった。今後、その菌量および菌種について検討を行う予定である。これらの一連の研究によって、真菌感染とGVHDの関連について包括的な理解を深めて行く予定である。
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Blood
巻: 129 ページ: 1216-1225
10.1182/blood-2016-07-728337