研究課題
Nestinプロモーターが働く細胞で、蛍光タンパク質(green fluorescent protein; GFP)が発現し、同時にNOTCHシグナルに必須のDNA結合タンパク質であるRbpjが欠失するマウス(nestin-Rbpj欠失マウス)を作製したところ、骨髄が白色調を呈していたことから、本研究においては骨髄赤芽球ニッチの解析を目的として研究を行った。このマウス骨髄では、CD45(-)の非造血細胞の約0.1%でGFPが発現していたが、CD45(+)の造血細胞ではGFP発現細胞は検出されなかった。Nestin-Rbpj欠失マウスでは、骨髄が白色調を呈するとともに脾腫が認められた。骨髄では成熟赤芽球が著明に減少しており、脾臓では成熟赤芽球の割合が増えていた。致死量の放射線照射後のRbpj欠失野生型マウスに、野生型マウス由来の骨髄細胞を移植すると、生着後にもとのnestin-Rbpj欠失マウス同様の骨髄成熟赤芽球減少と脾腫が認められた。一方、放射線照射後の野生型マウスに、nestin-Rbpj欠失マウス由来骨髄細胞を移植しても、正常に生着し、類似の異常は認められなかった。したがって、nestin-Rbpj欠失マウスは、骨髄の中にごくわずかに存在するnestin発現ストローマ細胞の異常によると推察された。Nestin-Rbpj欠失マウス骨髄由来マクロファージは、インターロイキン6の発現が亢進し、赤芽球島形成能が障害されていた。同じマウスの脾臓由来マクロファージのインターロイキン6発現は野生型マウス脾臓由来マクロファージと同じレベルであったことから、nestin発現骨髄ストローマ細胞が何らかのネットワークを介して骨髄局所でマクロファージに影響を与え、赤芽球分化が阻害されたと考えられた。
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Nature Communication
巻: 8 ページ: 15068
Blood
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10.1182/blood-2016-06-723783