研究課題
BRGSマウス(4-6週齢)22頭に対し、7回のlineage(-)CD34(+)臍帯血由来造血幹細胞(hematopoietic stem cells: HSCs)、同じく15回のlineage(-) CD34(+)骨髄細胞を骨髄内移植し、ヒト造血の構築を試みた結果、全例で構築を確認した。前年度からの改善点は、①移植前の放射線照射量を5.8Gyから5.5Gyに減らし、②HSCをより純化するために分化抗原の種類を12から18に増やし、③ヒト造血が構築されるために必要な移植細胞数の下限値を調べるための基礎検討を実施した点である。ヒト造血の構築確認は、骨髄移植4-8週が経過した時点でBRGSマウスを安楽死させ、マウスの骨髄、胸腺、脾臓、末梢血を採取し、フローサイトメトリーにより、human-CD45陽性細胞中の各血球マーカーにより確認した。キメラ率は、骨髄細胞を移植した場合(4.9-28.1%)とHSCsを移植した場合(3.3-20.4%)とで同等であり、両者とも二次移植まで成功している。骨髄細胞の中で、最も未分化なCD34(+)CD38(-)CD45RA(-)CD90(+)CD49f(+)分画、分化が一段階進んだCD34(+)CD38(-)CD45RA(-)CD90(-)のMPP分画、さらに分化が進んだCMP分画、MEP分画、GMP分画においてCXCR4の発現を継続的に検討したところ、CXCR4は最も未分化なHSCでは発現が低いものの、造血前駆細胞へと分化が進むにつれて陽性率が高くなり、さらに成熟すると逆に発現レベルが低下することが明らかになった。また、再生不良性貧血患者のiPS細胞から誘導したCD34陽性細胞においても、CXCR4が高発現しており、この細胞をBRGSマウスの骨髄内に移植することにより、3.5~8.9 %のCD45陽性細胞の生着が各臓器で確認された。
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Blood
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0.1182/blood-2016-11-752378