研究課題
以前の研究で、骨髄の血管は、細動脈と骨髄洞という2種類の血管によって構成され、細動脈は静止状態の維持、骨髄洞は増殖やトラフィッキングというような造血幹細胞の異なる機能を支持しており、更に、これらの血管は異なる種類の血管周囲細胞によって解剖学的かつ機能的に区別されることを明らかにした。しかしながら、細動脈のみが解剖学的に交感神経支配を受けており、骨髄洞は、直接的な神経支配を受けておらず、交感神経からの刺激が、どのような経路、細胞を介して骨髄洞の機能を制御しているかは、不明であった。オプトジェネティクスとは、光受容体(ChannnelRhodopsin)を組織特異的に発現させるシステムであり、より低侵襲的な神経刺激により、血管内皮細胞内、細胞間のシグナル伝達の可視化が可能である。本技術とマウス頭蓋骨髄生体イメージング技術を組み合わせることにより、またex vivo3次元イメージング技術により、神経刺激が、細動脈から骨髄洞へどのように伝わるかを分析することで、交感神経により骨髄機能がどのように制御を受けているかの解析を試みた。本年度は、正常造血幹細胞の静止状態と増殖を支持するニッチの相違を特定するために成人骨髄と胎児肝臓よりNestin-GFP陽性間葉系幹細胞を分離し、RNAシーケンスを行いその遺伝子発現について比較した。更に、間葉系幹細胞を特異的に標識するNestin-GFPマウス系統にMLL-AF9細胞を骨髄移植するマウス急性白血病モデルを用いて、白血病細胞がニッチ細胞に構造的にどのような変化を来すか、正常造血幹細胞との位置関係がどのように変化するか、我々が確立したスピニングディスク共焦点顕微鏡を用いた骨髄のホールマウントイメージングにより形態的学的に解析した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
Blood
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