研究課題
ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)は赤血球造血のみが障害される先天性の造血不全症である。タンパク質合成に働くリボソ ームの異常が原因と考えられているが、発症機構は明らかではなく、また有効な治療法もない。本研究では、ゼブラフィッシュを用い てDBA治療薬の創出につながる候補物質(リード化合物)の開発を目指した。1. RPS19をノックダウンしたDBAモデル(貧血)を用いて、1,280種類の化合物ライブラリーから造血回復効果を示す4種類のヒット化合物を同定した。2. これらの化合物の有効性と毒性を再検証した結果、2種類の化合物(化合物B、化合物D)で造血回復能力があり毒性もないことが確認された。また、化合物BはRPS19以外のRP 遺伝子をノックダウンしたDBAモデルでも造血効果があることを確認した。3. 化合物Bの構造をもとに6種類の類似化合物を同定し、それらの造血回復能と毒性をRPS19をノックダウンしたDBAモデルで検討した。その結果、2種類の類似化合物が有効であることを確認した。4. 論文等で報告のあったDBAの薬剤候補である化合物Eおよび化合物F、また造血促進効果が報告された化合物Gについて、本DBAモデルで造血能を検討した。その結果、化合物Eと化合物Gで造血回復の効果が確認された。一方、化合物Fの処理では造血の促進効果は認められなかった。今後はより効果の高い化合物を取得するために、さらなる類似化合物の検討を進め最適化を行う。また、有望な化合物はヒト細胞等を用いた検証を加えることで、リード化合物の開発へと繋げる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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