研究課題
EBV関連リンパ腫は高齢者に多い難治性悪性造血疾患である。診断が困難で、激しい炎症を伴う場合が多く、診断が確定した時には、全身状態の悪化のため、抗がん剤を用いた化学療法が困難な症例が多い。このような症例に化学療法に代わる、非侵襲的な治療はないだろうか?我々はこれまでの研究により、血液中に含まれるエクソソームが腫瘍形成において重要な機能を持つことを明らかにし、血漿交換がEBV関連リンパ腫に対して有効な治療となる手がかりを得た。そこで、その仮説を検証するために、ヒト化マウスモデルにおける体外循環を用いた血漿交換法を構築し、EBVリンパ増殖疾患モデルにおける血漿交換の有効性を検討することを本研究の目的とした。まず、上記の仮説を比較的簡便なシステムで検証するために、マウス間における体液交換を試みた。担癌マウスと正常マウスにおいて、体液交換がおこると、担癌マウスの血漿が2倍に希釈される。担癌マウスの生存が延長されると、血漿交換の有効性が示される。そこで、上記2種類のマウスの皮膚を吻合した。このシステムにおいては、通常2週間後に血球成分を含む完全な体液交換が起こる。結果は予想外にも、早期に、正常マウスが死亡するというものであった。この現象がいかなる機序によってもたらされるのか、について、今後明らかにしていきたい。
3: やや遅れている
予想外の結果を得たため、計画の大幅な変更を余儀なくされた。しかしながら、非常に興味深い結果であるため、最終的に得られる科学的な価値は高いと考えている。
免疫不全マウスにおける体外循環の構築は技術的に非常に困難である。それに取り組むにあたり、体液希釈が担癌マウスの生存延長をもたらすとの結果を得ることが必須であったが、予想外の結果を受け、今後は、正常マウスが担癌マウスから体液により死亡する機序を明らかにしていく。
最初に行った研究結果が、予想外の結果であり、当初予定していた研究計画を大幅に変更する必要性が生じ、当初購入を予定していた試薬などを購入する必要がなくなった。
次年度においては、新たな研究計画に沿って、網羅的な遺伝子解析、タンパク解析を行い、研究費を適切に使用する計画である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 10294
doi: 10.1038/srep19204.
Rinsho Ketsueki.
巻: 57 ページ: 3-8
doi: 10.11406/rinketsu.57.3.
http://kotani.med.u-tokai.ac.jp/
http://inflam.jst.go.jp/research/p_2404kotani/index.html