研究課題
IgG4関連型自己免疫性膵炎の発症機序について、「腸内細菌に対する自然免疫反応」という視点から解析を進めた。自己免疫性膵炎モデルマウスとしては、poly(I:C)の全身投与により誘導されるMRL/MpJマウスを用いた。この自己免疫性膵炎モデルでは、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells, pDCs)が膵臓に集積し ていることを見出した。これらの膵臓に浸潤するpDCsはTLR刺激により、IFN-alphaとIL-33を産生した。pDCsの除去抗体、I型IFN受容体抗体、IL-33受容体抗体の投与により、慢性炎症と線維化が著明に抑制された。これらの事実から、自己免疫性膵炎モデルマウスでは、IFN-alphaとIL-33を産生するpDCsが活性化されることにより、膵炎が誘導されることが明らかになった。抗生物質投与による腸管の清浄化により、自己免疫性膵炎の発症は著明に抑制され、その効果はpDCsの減少を伴っていた。16SrRNA Sequenceを用いた解析により、自己免疫性膵炎を引き起こす腸内細菌の候補が同定された。上記のモデルマウスを用いた検討により、IFN-alphaとIL-33を産生するpDCsが自己免疫性膵炎の発症に病的な役割を果たすことが明らかになった。ヒトIgG4関連疾患の末梢血より分離したpDCsはIFN-alphaを大量に産生し、B細胞をIgG4産生形質細胞へと分化させた。また、ヒト IgG4関連疾患の膵臓組織にはIFN-alphaとIL-33を産生するpDCsが多く浸潤していた。以上のマウス自己免疫性膵炎モデル及びヒトIgG4関連疾患を用いた解析により、pDCsによるIFN-alphaとIL-33の産生がIgG4関連型自己免疫性膵炎の発症に重要な役割を果たすことが明らかになった。
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