研究課題
本研究では、Densely Carboxylated Protein (DCP)チップを用いて、母乳栄養児と人工栄養児間に見られる鶏卵抗原とミルク抗原特異的免疫グロブリンクラススイッチの違いを検討した。人工乳及び混合栄養児の場合、出生直後から大量のミルクアレルゲンを経口摂取するため、生後2ヶ月の早期からの免疫グロブリンクラススイッチが起きて、生後4ヶ月目以後にはIgG1―IgG2―IgG4、とIgG1―IgEクラススイッチが認められた。特にこれら一連の過程において、IgG1の値の増加がある閾値を超えると、IgG1―IgEへのクラススイッチと、IgG1―IgG2へのクラススイッチが、ほぼ同時に起きる事が判明した。これに対して母乳及び混合栄養児の場合、母乳に含まれる微量の鶏卵アレルゲンに対する免疫グロブリンクラススイッチのスピードは遅く、生後4-6ヶ月目で漸くIgG1の有意な検出が可能となる程度であり、この時期に僅かではあるがIgG1―IgEとIgG1―IgG2へのクラススイッチが認められるケースがあった。後者のIgG1―IgG2―IgG4クラススイッチが不十分な時期に、湿疹による経皮抗原感作が起きると、IgG1―IgG2へのクラススイッチを伴わないIgG1―IgEクラススイッチが起きて、IgE/IgG1比の著明な増加が起きた。同じ湿疹者でも、ミルク抗原特異的免疫グロブリンクラススイッチでみられた早期の免疫グロブリンクラススイッチでは、鶏卵アレルゲン感作でみられたようなgE/IgG1比の著明な増加は見られず、抗原特異的免疫グロブリンクラススイッチと湿疹によるクラススイッチの変化との関係が推定された。
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