研究実績の概要 |
本研究では成人スティル病のマクロファージ活性化の指標としてのヘムオキシゲナーゼ(HO)-1および血清フェリチンの測定の意義を検討するために多施設共同研究をおこなった。AOSD患者146例より血清を得て、ELISA法を用いてこれらのタンパク質を定量した。その結果、血清HO-1>30.2 ng/ml、血清フェリチン819 ng/mlで、AOSD診断に対する感度・特異度ともに80%以上であることが判明した。また治療に応じてこれらの指標はともに低下したことから、AOSD診療における有益なバイオマーカーであることを提唱した(Kirino et al, Mod Rheumatol, 2018)。 さらに現在AOSD末梢血単核細胞由来マクロファージを用いて、サイトカイン産生などの様々な機能解析を推進している。M-CSFによって分化させたM2マクロファージからはフェリチン、CD163、HO-1などのAOSDバイオマーカーとなるタンパク質が多量に産生されていることが判明した(Kishimoto, Kirino et al, Arthritis Res Ther, 2018)。これらの解析を通じて今後AOSDの病態解明、治療標的となることが期待される。
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