研究課題
平成28年度には、平成27年度までに発見していた敗血症モデルマウスであるリポポリサッカライド(LPS)誘導DIC・多臓器不全(MOF)モデルマウスにおけるアポ蛋白M(ApoM)の生存率改善、臓器保護作用の機序についてまず検討した。その結果、ApoM過剰発現により、炎症性サイトカインの上昇は抑制されなかったが、PAI-1の上昇抑制および催アポトーシスマーカー(BAXやcaspase3のcleavage)の抑制がみられ、抗凝固作用、抗アポトーシス作用が関与すると考えられた。さらには、S1P受容体アンタゴニストであるVPC23019により、前述のApoMのLPS誘導DIC・MOFに対する保護作用が、少なくとも部分的に阻害されており、ApoMは抗アポトーシス作用や生存促進作用を持つ強力な生理活性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)を増やすことにより、S1P受容体1,3を活性化することにより、抗凝固作用、抗アポトーシス作用を発揮している可能性が考えられた。次に、平成27年度に確立したリコンビナントApoMを用いて、ApoMがDIC・MOFに対して治療医学的応用ができるか検討した。残念ながら、リコンビナントApoMを投与してもマウス血漿S1Pの増加は、有意差はあるものの、1.5~2倍ほどにしか増加しなかった。しかしながら、リコンビナントApoMは、少量のLPSを投与したマウスのクレアチニン、ALTの上昇を抑制することができ、リコンビナントApoMの代謝動態を研究し、改良すれば、DIC・MOFの治療へ応用することができると考えられた。
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