研究課題/領域番号 |
15K15379
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
根木 真理子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70646108)
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研究分担者 |
江石 義信 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70151959)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 血中免疫複合体 / 溶連菌 / 急性糸球体腎炎 / モノクローナル抗体 / ポリクローナル抗体 |
研究実績の概要 |
本研究では、微生物由来の抗原に対する血中免疫複合体の検出系の確立および臨床への応用を目的としている。特に溶連菌の関与が考えられている急性糸球体腎炎等をモデル疾患として新規定量系の確立を目指している。本教室ではこれまでにアクネ菌に対する血中免疫複合体に関して、pHおよび熱による処理を加えることで検出に成功し、サルコイドーシス患者でアクネ菌抗原が有意に高く検出されることを見出している。 本年度においては、特に臨床医との綿密な打合せを行い採取症例の選定をし、本学バイオバンクを利用した検体採取を計画し施行を始めている。検体を使用した実験に関しては症例が集まり次第、次年度より施行予定である。検出に用いるポリクローナル抗体に関しては、業者を選定し、溶連菌破砕液を免疫抗原とした作成を依頼した。得られた溶連菌ポリクローナル抗体に関しては、溶連菌破砕液抗原を固相化抗原としたELISAにより解析し、検出系の作成において十分な力価を有することを確認した。また、捕獲抗体に関してはまだ利用可能な抗体は得られておらず、次年度も引き続き作成を行う。特に溶連菌の抗体に関しては、以前に本教室にて作成を試みているが、通常の方法では十分な力価を示す抗体が得られていないことから、免疫抗原の準備においてイオン交換クロマトグラフィー等を利用し分画した抗原の作成を重点的に行った。 今後は、本年度に準備した抗原を用いて特異的なモノクローナル抗体の作成を行うとともに、溶連菌抗原の定量系の確立を試みる。また、作成に成功した定量系を利用して、ヒト血漿サンプルを利用した溶連菌抗原の検出および、臨床応用に関して解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度における研究の進捗としては、おおむね予定通りに進展している。特に本研究の重要なポイントとしては、特異的かつ高力価な抗体の作成となる。ポリクローナル抗体については十分な力価を有する抗体が得られており、常に使用可能な状態にある。また特異性が重要視されるモノクローナル抗体に関しては未だ得られてはいないが、本教室においてはこれまでにも様々手法を用いて作成に成功してきた多くの経験を有していることから、抗原の調整および準備が整い次第すぐに作成することが可能である。また、臨床検体においては、臨床医の協力のもと本学のバイオバンクを利用した形で進んでおり、検出系が確立次第これらの検体を用いて解析が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まずモノクローナル抗体の作成に取り掛かり、検出系の作成を行う予定である。特に検出系の作成に関しては、血中における菌体成分由来の抗原がどの程度検出され、またどのような形で存在しているかによって適切な処理方法を考案する必要があると考えられる。血中に存在する抗原が免疫複合体を形成しているか、またその抗原がタンパクなのか糖鎖なのか等により、処理に耐えうる分子であるかを解析する必要がある。 検出系の確立後はヒト血漿サンプルを用いて、急性糸球体腎炎やその他の疾患について解析を進め、本検出系の臨床応用に関する有用性について検討を行う予定である。
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