研究課題
KU-241は、DRVの約1000倍強力なPRの二量体化阻害効果を発揮する事がFRETを用いた二量体化阻害試験の結果から既に明らかとなっている。平成27年度は、(1) ESI-MSを用いた結合特性の解析及び、熱安定性試験を行い、KU-241が、DRV以上に強力にPR monomerにもdimerにも結合する事を示し、DRV同様にKU-241はPRの二量体形成過程で生じる不安定な二量体 (transient dimer) の形成を阻害する事を示唆する結果を得た。更に、(2) ESI-MSを用いて種々のPR変異体とKU-241の結合特性を測定、KU-241及びDRVとmonomer状態でしか結合しない変異体 (TFR-PRD25N) の同定に成功した。また、HIV-1の薬剤耐性化機構に関しては、(3) 平成27年度までに同定していた化合物、GRL-015, -085及び-097の相互作用形式を解析、HIV-1DRVRsを効果的に阻害する為にはPRのflap領域に存在するアミノ酸Gly48との水素結合が重要な役割を示す事を明らかにし、得られた成果を国際雑誌に発表した (Aoki & Mitsuya, J. Virol, 90, 2180-94, 2015)。本研究は、DRVよりも優れた耐性株出現抵抗性を有し、HIV-1野生株及び多剤耐性株の双方に更に強力な阻害活性を有する新規の二量体化阻害剤 (PDIs) を開発する事を目的としている。本研究で得られたKU-241の阻害機構の解析データと、TFR-PRD25Nは、新規化合物の設計に必須の結晶構造を得るために必要不可欠である重要な成果と言える。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
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