今後の研究の推進方策 |
萌芽的研究の括りの中で、今後進めていくべき課題は山積している。1年目に行った解析により、より基盤的な技術の改良と、それを用いた基本的データの収集が重要であることを再認識している。今後はそのような中で、単球分化異常を呈する患者由来iPS細胞を用いたMo-Mφ分化系の検討に注力したいと考えている。具体的には、健常者由来、新規責任遺伝子異常症、GATA2異常症患者から樹立したiPS細胞を用いて、単球・DC系に分化させ、ステップ毎における遺伝子発現解析を行うことで、鍵となるタンパク(転写因子、翻訳制御因子など)を詳らかにしたいと考えている。また同検証の中では、患者からiPS細胞を樹立するだけではなく、健常者由来のiPS細胞を用いてゲノム編集を行い、knock in細胞を作成する予定である。これにより基盤が一致した解析が可能になると考えている。未知遺伝子異常による単球・DC欠損症では、責任遺伝子探索を行うと共に、上記手法を駆使して、病態に迫る予定である。 M1, M2マクロファージについては、現在も様々な亜集団の報告が次々となされている状態である。今後の検討においては、今までの報告のあるそれぞれの亜集団の発現解析を元に、鍵となる転写因子やシグナルを探り、それをiPS細胞にも応用する予定である。現時点において、Mo, Mφ, DC活性化に関係するシグナル伝達因子や、転写因子を抑制する、siRNAやタンパクについては、用意を進めているところであり、一旦系が確立すれば、それらを用いて、単球やマクロファージの制御について検討を行いたい。さらに、現在解析中の新規・未知責任遺伝子は活性化等にも関与する可能性があり、その操作による制御についても模索したい。
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