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2015 年度 実施状況報告書

新規細胞性免疫誘導型アジュバントを用いた百日咳ワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K15390
研究機関大阪大学

研究代表者

黒田 悦史  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (10299604)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード百日咳ワクチン / 経鼻投与 / アジュバント
研究実績の概要

新規細胞性免疫誘導型アジュバントの解析として、申請者らが見出した新規アジュバントであるCpG+STINGアゴニストのin vivoにおけるアジュバント効果の解析を行った。モデル抗原として卵白アルブミン(OVA)を用い、CpG+OVA、STINGアゴニスト(c-di-GMPまたはcGAMP)+OVA、CpG+STINGアゴニスト+OVAを後肢筋に筋肉内投与した。CpG+OVAやSTINGアゴニスト+OVA投与群に比して、CpG+STINGアゴニスト+OVA投与群では、抗原特異的なIgG2cの上昇や抗原特異的Th1サイトカイン(IFN-gamma)の増強が認められた。すなわち、CpG+STINGアゴニストは強力なTh1誘導型アジュバントとして機能することが明らかになった。
またCpG+STINGアゴニストをアジュバントとして経鼻を介したワクチン経路が有効か否かを評価した。モデル抗原としてOVAを用い、CpG+OVA、STINGアゴニスト+OVA、CpG+STINGアゴニスト+OVAを経鼻によりマウスに感作したところ、筋肉内投与と同様にTh1型の抗体であるIgG2cが増強した。興味深いことに肺胞洗浄液中には粘膜型の抗体である抗原特異的IgA抗体の分泌が認められた。百日咳の感染経路が飛沫感染であることからも、IgAを誘導する特性を有するCpG+STINGアゴニストの経鼻投与が有効である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画していた実験のうち、最も重要視していた実験がCpG+STINGアゴニストの粘膜アジュバントとしての有効性についての解析であるが、実験結果よりCpG+STINGアゴニストが経鼻ワクチンのアジュバントとして有効であることが示された。これにより、平成28年度に計画していた、百日咳抗原を用いたCpG+STINGアゴニストの有効性の評価に関する実験にスムーズに移行することができる。

今後の研究の推進方策

最初にCpG+STINGアゴニストを用いた百日咳抗原特異的な細胞性免疫誘導の解析を行う。前年度の結果を基盤に百日咳抗原を用いた免疫実験を行う。抗原に関しては変異型百日咳毒素(Pertussis Toxin Mutant:PTm)および血球凝集素(Filamentous Hemagglutinin: FHA)を使用し、マウス当たりPTm 1 μg/mouse、FHA 2.5 μg/mouseになるように投与する。投与経路として筋肉内投与を行い、抗原特異的な抗体価および脾細胞の応答を解析することで、細胞性免疫応答を評価する。
次にCpG+STINGアゴニスト+百日咳抗原の粘膜免疫の有効性についての解析を行う。前年度と同様の実験系で行う。モデル抗原としてPTmおよびFHAを用い、CpG+抗原、STINGアゴニスト+抗原、CpG+STINGアゴニスト+抗原を経鼻によりマウスを感作する。百日咳抗原特異的抗体価(IgG1、IgG2c)の測定、脾細胞の百日咳抗原特異的な増殖反応やサイトカイン産生に加え、肺胞洗浄液中の百日咳特異的IgA抗体価について評価し、新規百日咳ワクチンとしての可能性について評価する。

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公開日: 2017-01-06  

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