研究課題/領域番号 |
15K15398
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
巽 国子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, 共同研究員 (10534860)
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研究分担者 |
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 成育医学 / システム科学 / ES細胞 / フィーダー細胞 |
研究実績の概要 |
ヒト胚性幹(ES)細胞は、①体を構成するすべての細胞へと分化できる多能性を保持し、②増殖し続けることができる極めてユニークな細胞である(PLoS ONE, 3(6):e2407.)。本研究の目的は、この2つの特性を利用して、ES細胞をⅠ型糖尿病や若年性パーキンソン病などに対する細胞移植療法の細胞供給源として使用することである。 ES細胞の培養には分裂を停止させたフィーダー細胞(フィーダー化)が必要である。マウスES細胞培養の際に我々が作成しているフィーダー細胞には、X線照射を施している。これまで我々が行った X線照射線量の条件設定実験より、ヒトフィーダー細胞化に30Gy(1.0Gy/min X 30min;HITACHI MBR-1520A-TWZ)線量の照射を行う。ヒトEC細胞であるEC細胞は未分化性を保ちつつ培養維持がES細胞より容易である。EC細胞は遺伝子発現パターンとコロニー形態がヒトES細胞に近似している。未分化維持に必要な遺伝子群の発現が広く認められる細胞(黒が多い)と、対象に発現が低い細胞(白が多い)とをフィーダー化しEC細胞を比較培養した結果、発現が低い細胞でのEC細胞は培養開始後数日内に多くのコロニーで分化傾向が認められた一方で、未分化寄与に働くと思われたフィーダー細胞では良好なコロニー形態を保ち培養維持されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィーダー細胞となりうるヒト組織由来初代細胞の樹立は順調に行われており、その特性解析も問題なく実施できているため、本研究の進捗は概ね順調と判断された。
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今後の研究の推進方策 |
【ヒトES細胞及び霊長類(カニクイサル)ES細胞よる検定を行う】 カニクイサルES細胞は、細胞の機能、培養方法等ヒトES細胞に非常に近似している。我々は、田辺三菱製薬 先端医学研究所の協力を受けカニクイサルES細胞(CMK-6, EGFP-CMK-6)の培択で養を行っている。ヒトフィーダー細胞をカニクイサルES細胞培養により最終的に未分化維持性への働きを検定していく。最終段階として、ヒトフィーダー細胞とヒトES細胞を良好に維持する細胞株として汎用されているマウス胎児線維芽細胞(MEF)とヒトES細胞用フィーダー細胞として報告のあるヒト包皮細胞株(HFF;#Detroit 511)とで遺伝子発現解析及びタンパク質発現解析を行っていく。更に、ネガティブ作用とされたヒト細胞株を用いて、カニクイサルES細胞に対し強力に分化誘導効果も検討することで、将来の細胞移植療法において効率的な分化誘導システムに対し貴重な基盤データとなる。
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