研究課題
自閉性障害(ASD)や知的障害(ID)の病態にはシナプス構造・機能障害が重要な役割りを果たす。しかし、シナプス障害の分子メカニズムやダイナミクスは殆ど判っていない。これまでも固定切片を用いた形態解析は多用されてきたが、本研究計画では、共焦点顕微鏡ライブイメージングによる解析を目指す。in vitroライブイメージ実験系の確立は順調に進んだと考えられる。正常のマウス海馬神経細胞を用いたコントロール実験では、スパイン形態の変化を経時的に記録・観察することが出来た。現在の課題としては、細胞培養条件の均一化や定量的観察法の確立などがある。課題を克服して、疾患モデル神経細胞におけるシナプス障害のダイナミックな実態解析を目指す。in vivoライブイメージング法の確立に関しては、現在、大脳皮質スライスを共焦点顕微鏡下で培養する条件(観察時間、培地組成、酸素供給方法)を検討中である。週令が進んだマウス大脳のスライス培養では神経細胞死が起こりやすいため、培養条件(特に酸素の分圧と供給方法)を綿密に検討中である。
2: おおむね順調に進展している
in vitroライブイメージ実験系は実用化の目処がついた。一方、in vivoライブイメージング法の構築については、1時間以内の短時間イメージングは可能になったが、長時間(24時間)の解析にはさらなるスライス培養条件の検討が必要である。多彩な表現型を正しく定量化するための解析方法の設定も重要であると考えられた。
実験系の構築に当たり、当初は想定しなかった様々な課題が生じた。特に、実験ごとに細胞の状態が微妙に異なる場合、コントロール実験を注意深く設定したうえで定量的解析を行なう必要があることが判った。また、多彩な表現型を正しく定量化するための解析方法の設定も重要であると考えられた。in vitroライブイメージ実験系は実用化の目処がついた。一方、in vivoライブイメージング法の構築については、さらなるスライス培養条件の検討が必要である。
in vivoライブイメージ実験系における細胞培養条件の検討に、当初予定していなかった問題点(CO2濃度の最適化と培地の選択)が生じた。そのため、研究計画の一部に遅れが生じたため。
培地や細胞培養試薬の購入と実験補助の謝金として使用する。平成28年10月までには使用を終了する計画である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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