研究課題
自閉性障害(ASD)や知的障害(ID)の病態にはシナプス構造・機能障害が重要な役割りを果たす。しかし、シナプス障害の分子メカニズムやダイナミクスは殆ど判っていない。そこで本研究では、マウス培養海馬神経細胞におけるシナプス動態のin vitroライブイメージ観察により、ASDとIDの病因・病態関連遺伝子がシナプス動態に与える影響を画像解析することを試みた。種々の実験条件を検討しながら観察システムを最適化することで、IDの病態に関連する低分子量G蛋白質Rac1によるシナプス形態制御メカニズムの一端を解析した。Rac1の機能抑制により、成熟型スパインの数および成熟形態の持続時間が減少することが確認された。現在は、細胞ごとさらに樹状突起の部位によっても多様性を示すスパイン動態を如何にして定量化するかについて検討を行なっている。また、発達障害病因遺伝子がシナプス動態に及ぼす影響を組織レベル(in vivo)でライブイメージ解析するための実験系の確立を試みた。具体的には、マウス胎仔脳への電気穿孔導入法を用いて大脳皮質内で遺伝子発現を抑制し、その後、生後数日で大脳皮質スライスを作成し、共焦点レーザー顕微鏡観察下でシナプスをライブイメージ観察する実験系である。これについても、Rac1をモデル遺伝子に選定し、電気穿孔を施行する時期(胎生14~16日)および脳内部位(大脳皮質あるいは海馬領域)を検討し、表現型が観察できる条件を概ね決定できた。
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