研究課題/領域番号 |
15K15403
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山田 源 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 教授 (80174712)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アンドロゲン / 筋肉発生 / 骨盤 / 男性ホルモンレセプター(AR) / 生殖機能 / 生殖器 |
研究実績の概要 |
骨盤底をモデルとして男性ホルモン依存的な筋肉発生機構と近傍に存在する胎児間葉細胞の機能を解明した。網羅的解析により転写因子Sall1陽性の胎児骨盤部の間葉細胞が男性ホルモン依存的筋肉発生に必須である事を示した。 筋芽細胞及び近傍間葉特異的な各々のコンディショナルノックアウトマウスを解析し、アンドロゲンシグナルが筋芽細胞自身でなく間葉細胞に入力される事が必須である事が判明した。
この間葉細胞をGFPを指標として胎児より精製し、間葉細胞から筋芽細胞に作用する候補シグナルを検索した。その結果Notchシグナル及びBmp(骨形成因子)を含む複数の因子系が示唆されつつある。
今後これらのシグナル伝達系におけるミュータントマウスを解析中である。共同研究により骨盤部のSall1陽性細胞を単離し、未分化な間葉細胞の培養を樹立しつつある。このような細胞を利用し、アンドロゲンに応答する骨盤部筋肉の発生系、それらの細胞を用いた筋肉の再生、explant culture を計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2014年-2016年、本研究の初期段階において、既にPNAS 2014、Endocrinology 2014 2報、Differentiation 2015、Endocrinology 2016等の論文が順調に発表されており、当初の計画以上に進展している。 また、ヨーロッパの国際性分化ミーティングシンポジスト講演(DSD 2015)等を複数行っており、順調な研究進行状況を反映している。
以上のような進展を踏まえて、更にアンドロゲン依存性の筋肉発生機構について研究を推進する。
|
今後の研究の推進方策 |
アンドロゲン依存性の筋肉発生制御の鍵となる間葉細胞を単離し、in vitroにおいてその分化能力を解析する。 更に、マウスモデルを用いた系譜解析を応用し、そのような間葉細胞が筋肉系の幹細胞及び幹細胞周辺の如何なる細胞に寄与するか詳細に解明する。
初年度において示唆された間葉細胞由来の信号系、Bmpシグナルとアンドロゲンシグナル等について系譜解析と組み合わせて筋芽細胞、幹細胞、ペリバスキュラー(血管周辺)な細胞にどのような信号が入力される事により細胞のリクルートメントと分化が行われるかについて統合的に解明する。 筋肉系の発生と血管形成はしばしばカップルして起こる事が器官形成において知られている。我々が見出している、Sall1陽性間葉はこのような2つのプロセス双方に寄与する可能性がありそれについて解析を行う。 以上の解析を統合し、アンドロゲン依存性の筋肉発生機構の研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究において、網羅的スクリーニングを行いその結果Bmp(骨形成因子)シグナルを含む筋肉発生に重要なシグナル系がリストアップされて来た。この結果を受けて、次年度においてこのシグナル系についてまさに集中して解析する必要が出て来た為。
|
次年度使用額の使用計画 |
BmpやNotch信号伝達系についてそのミュータントマウスを含めて、骨盤部筋肉の発生について解析を行う。また筋肉の発生に重要な間葉細胞の系譜解析やSall1陽性間葉細胞についてBmpシグナルとクロストークする信号系についても分子的な解析を行う。
|