尋常性乾癬はTh1+Th17型の慢性炎症性疾患であるが、最近では常在細菌叢の定常状態が変化するといういわゆるDysbiosisの関与する疾患の一つと考えられている。一方、マウスを用いた研究では、TLR7のリガンドである核酸類似物質イミキモドの外用が乾癬モデルとして広く用いられるが、イミキモドがヒトの乾癬の病態で何を模しているのかは明らかでない。細菌16SrRNAメタゲノム解析に加え最近、バクテリオファージウイルスによる細菌叢の“Community Shuffling(群集改造)”が宿主のDysbiosisを引き起こすという理論が新たに提唱された。これは、バクテリオファージが環境ストレスにより優良な常在細菌内でより溶菌サイクルを引き起こし、病原性偏利共生菌が有利になるというDysbiosisサイクルのことを指す。そこで、ウイルス由来のssRNAがTLR7のリガンドであることを踏まえ、本研究は乾癬の患者検体を用いて細菌16SrRNA遺伝子のメタゲノム解析に加えファージウイルスをターゲットとしたVirome解析を包括的に行う事で乾癬の病因解明に繋がると期待するものである。本研究を推進するために、大学規定の生命倫理審査受理の後、実際に患者検体を採取・保管を行った。現時点までに、健常者および乾癬患者、約15名ずつのエントリーを行った。また、採取検体から効率よくViromeを解析するため、スピンカラムキットを用いたウイルス由来核酸抽出法の、至適な条件を検討した。
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