研究課題
従来個々の遺伝子変異に個別に対応する方向で遺伝子編集による治療が研究されてきたが、当研究の不活化遺伝子を導入する治療法では、複数の遺伝子変異に効果を示す不活化変異を導入する汎用ベクターセットで治療できる可能性がある。GJB2-G45E mutantのみのKID症候群モデルマウスで検討するのでは十分でなく、複数の遺伝子変異のマウスモデルを作成する必要があった。したがって、KID症候群の変異遺伝子で、症例および研究報告の多い、GJB2-G12R、GJB2-G45E、GJB2-D50N mutantsの3系統のモデルマウスを作成することを検討した。優性変異であるKID症候群の変異遺伝子上記3系統について、それぞれFLAG-tagを付加した融合タンパクに加え、緑色蛍光タンパクであるEGFPをIRESの存在下で発現するコンストラクトを作成した。構築する遺伝子改変マウスを3系統に増やす必要上、ドキシサイクリン依存性転写配列をノックインするのではなく、遺伝子導入された時点から変異遺伝子が発現するトランスジェニックマウスを作成する方針へ計画を修正した。BLACK-6Jのマウスを使用し、pIRES2-AcGFP1ベクター(タカラバイオ株式会社)に上記コンストラクトを乗せ換えて使用した。発現プロモーターは、pIRES2-AcGFP1ベクターのCMVプロモーターをそのまま使用した。作成したトランスジェニックマウスの組織からPCRで変異遺伝子の存在を確認した。しかし、FLAG融合タンパクおよびEGFPの発現を確認できず、生体でのタンパク質発現が確認できなかった。この原因として、げっ歯類の胎盤にGJB2がコードするコネキシン26が発現しており、これによって胎生期に胎児へのグルコース輸送を阻害され胎生致死にいたっている可能性(Gabriel HD, et al. J Cell Biol. 1998)や、変異遺伝子がうまくタンパク発現されない場所に挿入されているなどの可能性が考えられた。
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